オンラインだけでは判断が進まないサービスを百貨店で体験化する ― ショールーミングの新しい使い方

ショールーミングの新しい活用方法-百貨店で検討が必要なサービスを体験化

この記事の要約

  • ショールーミングを「店舗での価格比較」から、オンラインでは伝わらない理解・納得を促す判断支援の場へ再定義。
  • 百貨店で物販目的の来場を避け、対話・診断・比較を通じて質の高い持続的な顧客接点をつくる方法と事例を紹介。

ショールーミングは一般に「店舗で見て、ECで買う」という物販の文脈で語られます。一方で、BtoCサービスや高価格帯サービスでは、購入以前に「理解」「納得」「信頼」が不足し、検討が止まってしまうケースが少なくありません。

オンライン施策で情報は届いていても、「自分にとって本当に意味があるのか」が判断できず、次の行動に進めない状態が起こります。この課題に対し、ショールーミングは物を売るための手法ではなく、オンラインでは伝わらない価値を“体験”として届ける手段として再定義できます。

本記事では、BtoCサービスにおけるショールーミングを「判断を前に進める体験」として整理します。あわせて、百貨店で成立させるポイントと体験後の導線設計まで解説します。

目次[非表示]

  1. 1.ショールーミングを「物販の購買行動」から切り離して考える
    1. 1.1.物販目的の流入を避けるための前提
  2. 2.なぜショールーミングで「理解」が深まるのか
    1. 2.1.対話が生まれ、疑問をその場で解消できる
    2. 2.2.体験と記憶が結びつき、検討に残りやすい
    3. 2.3.不安が言語化されることで次の行動に進める
  3. 3.ショールーミング=物を売る場所ではない
    1. 3.1.体験型プロモーションとしての役割
    2. 3.2.「押し売り」にならない体験設計の考え方
    3. 3.3.デジタル施策との役割分担
    4. 3.4.ショールーミングを「どこで行うか」という視点
    5. 3.5.百貨店がショールーミングの場として選ばれる理由
  4. 4.百貨店ショールーミングで提供できる3つの体験型
    1. 4.1.①相談・診断型|課題を整理するショールーミング
    2. 4.2.②説明型|サービス理解を深めるショールーミング
    3. 4.3.③比較・検討型|判断軸を整えるショールーミング
  5. 5.体験を「その場限り」にしないための設計
    1. 5.1.百貨店ショールーミングで失敗しやすいポイント
    2. 5.2.成果を分けるのは「体験後の設計」
    3. 5.3.CTAは「判断を前に進める行動」に絞る
    4. 5.4.百貨店ショールーミングは「設計力」が問われる
    5. 5.5.体験型ショールーミングを形にする選択肢としての「イベマチ」
  6. 6.まとめ
    1. 6.1.まずは情報収集から始めたい方へ
    2. 6.2.自社に合う活用方法を検討したい方へ

ショールーミングを「物販の購買行動」から切り離して考える

ショールーミングは、実店舗で商品を確認し、購入はオンラインで行う購買行動として定義されることが一般的です。

実際、Cambridge Dictionary などの辞書では、 「店舗で商品を確認した後、価格の安いオンラインで購入する行為」と説明されており、マーケティング業界の記事でも価格比較を前提とした物販行動として語られるケースが一般的です。

一方で、サービス商材や判断に時間がかかる商材では、この前提が当てはまりにくいことが分かっています。消費者行動研究では、金額が大きいものや失敗リスクの高い選択ほど、情報を集め、比較し、納得するまで判断を保留する傾向が強くなることが指摘されています。

また、心理学の意思決定モデル(Elaboration Likelihood Model)でも、価格や利便性だけで判断できる購買と、意味理解や納得を必要とする購買とでは、情報処理の深さが異なるとされています。

そのため、サービス商材の場合「すぐに買うかどうか」よりも、「自分に合っているか」「どの基準で判断すべきか」が重要になります。

例えば、BtoCサービスでは実物の商品が存在しないことも多く、来場者が求めているのは購入そのものではなく、次のような判断のための行為です。

  • 自分の状況に合っているかを相談する

  • 内容を理解し、不安を解消する

  • 他の選択肢と比較し、判断材料を整理する

こうした行為そのものが、サービスにおける「体験」になります。

このことから、ショールーミングは「その場で買うかどうか」を決める行為ではなく、判断に必要な情報を集め、整理し、納得して検討を進めるためのプロセスとして捉え直すほうが、サービス商材の実態に近いと言えます。

このように、ショールーミングを「判断を支援する場」として位置づけることで、価格比較や即時購入を前提とした、従来の物販中心の考え方から切り離して考えることができます。

物販目的の流入を避けるための前提

もともとショールーミングが物販文脈で語られてきた背景には、「店舗で見て、より条件の良い場所で買う」という行動モデルがあります。そのため、この前提を崩さないまま場を設計すると、価格や購入条件を求める来場が集まりやすくなります。

サービス商材でショールーミングを活用する場合は、設計段階で「販売目的の来場」を避けるために、訴求と導線を「相談・体験」中心に設計することが欠かせません。

例えば、「最安値」「購入」「即決」といった訴求を主軸にせず、

  • 相談

  • 診断

  • 比較

  • 体験型プロモーション

といった内容に寄せて設計します。

冒頭で「販売会ではない」ことを明確に伝えておくことで、来場者も「ここは判断材料を集める場だ」と理解しやすくなり、結果として対話や検討が深まりやすくなります。

ショールーミングについてはこちらの記事もご覧ください。

なぜショールーミングで「理解」が深まるのか

対話が生まれ、疑問をその場で解消できる

一度選ぶと、簡単にやり直しがききにくいサービス(長期利用、将来設計に影響する、変更コストが大きい)があります。

こうしたサービスでは、顧客は「買うかどうか」よりも先に、 「自分に本当に合っているか」を慎重に確認しようとします。

その過程では、

  • 自分にも問題なく使えるのか

  • 似たサービスと比べて、どこが違うのか

  • 購入・サービス導入後に想定外の負担が発生しないか

といった疑問が自然に生まれます。

しかし、こうした疑問は、事前に用意された資料だけでは解消しきれません。

オンライン上の情報は、多くの人に向けた内容になりやすく、どうしても「一般的な説明」に寄ってしまうからです。その結果、顧客の側には「自分の場合はどうなのか」という不安や引っかかりが残ります。

このように「前提が人によって変わる話」は、事前に用意された情報だけでは判断しにくく、やり取りしながら整理していく必要があります。

一方、対面でコミュニケーションが生まれる場では、顧客の状況や前提に合わせて、その場で対話が行われます。質問を投げかけ、回答を受け取りながら考えることで、商品やサービスを「説明として知る」のではなく、「自分のケースとして理解する」ことができます。

実際の研究では、曖昧さの高いテーマほど、対面のように情報量の多い媒体が適しているとされています。また、対面のほうが相手の反応や行動を引き出しやすいことが示されています。*1*2

その結果、顧客は単に話を聞いた状態ではなく、自分なりに整理し、納得した状態に近づきます。このプロセスこそが、ショールーミングの場で理解が深まりやすい理由です。

参考
*1 Daft & Lengel (1986) Media Richness Theory(PDF)

*2 Ask in person: You’re less persuasive than you think over email(ScienceDirect)

体験と記憶が結びつき、検討に残りやすい

検討期間が長いサービスでは、情報を受け取った順番が、その後の意思決定に影響し、心理学でも最後に接した情報ほど記憶に残りやすいという「リーセンシー効果(新近効果)*3」が知られています。

広告やWebサイトなどの情報接触は、日常の中で次々と上書きされ、時間が経つほど印象が薄れやすくなります。そのため、比較検討の段階では思い出されにくくなることがあります。

一方、ショールーミングのような体験の場では、説明を聞くだけでなく、質問、自分の状況に当てはめて考えます。プロセスそのものが、直近の具体的な体験記憶として残りやすくなります。

実際、記憶研究でも、感情を伴う体験は記憶に残りやすいことが示されており、体験の場で得た納得感は後日想起されやすい判断材料になります。*4

  • 「一度きちんと話を聞いた」
  • 「自分のケースで整理してもらった」

という感覚は、具体的な体験として記憶に残りやすい判断材料になり、後日の比較検討時に、数ある選択肢の中でも候補として残りやすく次の行動(個別相談、資料請求など)につながりやすくなります。

*3 リーセンシー(新近)効果:最後に触れた情報や直前に触れた情報が印象に残り、評価に影響を及ぼす現象のこと。

不安が言語化されることで次の行動に進める

検討が止まってしまう理由のひとつは、心理的な不確かさ(不安や疑問が明確になっていない状態)があります。

消費者行動の研究でも、不安の整理ができないまま不確実性が残ると、判断を先送りしやすくなる傾向があります。*5*6

具体的には、

  1. どの情報が自分にとって重要なのかが分からない
  2. 複数の選択肢があり、どれが自分に合うかわからない
  3. 導入後の失敗や予期せぬ負担への不安

といった状態です。

この状態を変えるきっかけになるのが、不安の言語化です。不安や疑問を口に出し、言葉として整理することで、「何がわからないのか」「何が引っかかっているのか」が具体化されます。感情や不安を言葉にする行為そのものが、心理学の研究では認知的な整理を促し、判断を進めやすくするプロセスとして捉えられています。*7

また、自分の優先順位や判断基準を言語化すること自体が、選択を容易にすることも示されています。*5

こうした言語化は、企業担当者との対話の中で特に起こりやすくなります。

対面で疑問を話しながら整理することで、

  • 本当は何を重視しているのか

  • どこに不安を感じているのか

  • どの選択肢が自分に合いそうか

といったポイントを、顧客自身が言葉として把握できるようになります。

その結果、不安は漠然としたものから具体的な課題へと変わり、心理的なハードルが下がります。これが、次のステップ(個別相談、資料請求、比較検討)へ進みやすくなる理由です。

参考

*4 Petter Törnberg.「How digital media drive affective polarization through partisan sorting.」Nature Human Behaviour,

*5 Payne, J. W., Bettman, J. R., & Johnson, E. J. (1993). 「 The Adaptive Decision Maker.

*6 Tversky, A., & Shafir, E. (1992).「The disjunction effect in choice under uncertainty.

*7 Lieberman, M. D., et al. (2007).「Putting feelings into words: Affect labeling disrupts amygdala activity.

ショールーミング=物を売る場所ではない

ショールーミングという言葉から、「展示して、その場で売る場所」を想像する人も多いでしょう。しかし、サービスや無形商材におけるショールーミングの役割は、販売そのものではありません。

目的は購入や契約の判断に必要な情報を整理し、検討を前に進める「判断補助の工程」をつくることです。そのため、ショールーミングは短期的な売上をつくる施策というよりも、体験を通じて顧客自身が理解と納得をつくるための体験型プロモーションとして位置づけられます。

体験型プロモーションとしての役割

広告やECは、サービスの存在を知ってもらい、基本的な情報を短時間で届けることに優れています。

実際、広告施策は認知獲得には一定の効果を発揮する一方で、認知と検討・購入は別の段階であり、認知があっても意思決定には進まない消費者が存在することが、マーケティング研究でも指摘されています 。

特に広告やWeb上の情報接触では、

  • そのサービスが自分の状況に当てはまるか

  • 他の選択肢と比べてどう違うか

  • 購入・サービス導入後に困ることはないか

といった判断材料までを、十分に整理することは難しい側面があります。

その結果、

「興味はあるが、判断材料が足りない」

「資料請求まではしたが、次の行動に進めない」

といった、検討プロセスの手前で止まってしまう状態が生まれやすくなります 。

ショールーミングは、まさにこの「判断の手前」で止まりやすい部分を受け持ちます。

体験や対話を通じて、

  • 自分の場合はどうか

  • 比較するなら何を基準に見るべきか

  • 何が不安で、何が判断材料になり得るのか

を整理し、理解・比較・納得を支えるプロセスを提供する点で、広告やECとは異なる役割を果たします。

つまりショールーミングは、「売る場」ではなく、広告で生まれた関心を、意思決定に進めるための“判断補助の工程”として機能する体験型プロモーションだと位置づけることができます 。

体験型マーケティングについては、こちらの記事もご覧ください。

「押し売り」にならない体験設計の考え方

体験型プロモーションとしてショールーミングを設計する場合、重要なのは「その場で結論を出させない」ことが前提です。

実際の事例を見ると、その場で結論を出させることよりも、判断に必要な情報を整理することに重きを置いているケースが多く見られます。

代わりに行っているのは、

  • 持ち帰って比較検討できる情報の整理

  • 顧客自身の状況に当てはめた理解の補助

  • 判断基準を明確にするための対話

です。

選ばせる場ではなく、選べる状態をつくる場として設計することが、「押し売り感」をなくし、納得感を高めます。

デジタル施策との役割分担

ショールーミングは、デジタル施策と競合するものではありません。オンライン施策は、認知や情報取得に強みがあります。一方、ショールーミングは、理解・納得・信頼形成を担います。
しかし、この違いを意識せず、同じ役割を担わせてしまうと「成果が出ない」と感じやすくなります。

例えば、次のようなケースです。

  • Web広告やLPと同じ説明をイベントでも繰り返し、比較・検討が進まない
  • その場で申込み前提にして売り込み感が出て離脱してしまう
  • オンラインとイベントでKPIを同じ成約数だけで見て本来の役割が見えなくなる

これらはいずれも、顧客の検討ステップを無視して、施策を同列に扱ってしまった結果です。
顧客の検討ステップの違いとして役割を分けて設計することで、はじめて全体が機能します。

ショールーミングは、「知ってもらう」ための施策ではなく、「検討を前に進める」ための施策です。認知や情報取得はデジタルで担い、理解・比較・納得はショールーミングで担う。

このように、顧客の検討ステップの違いとして役割を分けて設計することで、はじめてデジタル施策と体験型施策が補完し合い、全体として機能します。

ショールーミングを「どこで行うか」という視点

ここまで見てきたように、ショールーミングは「何を体験させるか」だけでなく、「どこで体験させるか」も重要です。

同じ相談や説明であっても、場所が変わると受け取られ方は大きく変わります。顧客が「押し売り」と感じるのか、「自分に合うサービスを見つけた」と感じるのかの違いは空間やその場がどのような体験を前提に設計されているか次第です。

そのため、ショールーミングを検討する際は、自社オフィスや単独イベント会場だけでなく、第三者性や信頼感を備えた場を選ぶことが重要になります。

百貨店がショールーミングの場として選ばれる理由

こうした条件を満たす場の一つが、百貨店です。百貨店がショールーミングに向いている理由は、単に立地や知名度が高いからではありません。

経済産業省の調査によると、百貨店の利用者は平均的に年収水準が高く、また「できるだけ長く使えるものを選びたい」と考える傾向が強いことが示されています。

さらに、百貨店の利用頻度が高い層ほど、価格の安さよりも「品質」や「自分の好みに合うか」を重視する傾向が強まることも分かっています。

消費における考え方・行動画像引用元:経済産業省『令和3年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(次世代の消費・流通の在り方に関する調査)調査報告書

こうした来場者特性は、 即断・即決よりも、納得して選ぶことを前提にしていることを意味します。

多くの商業施設では、来場の主な目的が「買い物」や「価格比較」になりやすく、企業が出店すると「販売をされる場」と受け取られがちです。 その結果、説明や相談が「押し売り」と感じられ、警戒されることも少なくありません。

一方、百貨店は、商品を買うだけでなく、相談する、話を聞く、情報を集めるといった行動が自然に許容されている場所です。 来場者自身も、「すぐに買うかどうか」より、「自分に合っているか」「長く使えるか」を確かめる姿勢で訪れています。

また、百貨店には、お客様との対話を重視する文化が根づいています。押し売りではなく、来場者の状況や価値観を理解したうえで案内する姿勢が期待されています。

こうした環境と来場者の意識が重なることで、 販売を前面に出さない説明や相談が成立しやすくなります。 結果として、ショールーミング本来の目的である顧客が自分事として情報を受け取り、 サービスや商品の価値を納得したうえで判断できる体験が機能しやすくなります。

出典:経済産業省『令和3年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(次世代の消費・流通の在り方に関する調査)調査報告書

百貨店ショールーミングで提供できる3つの体験型

百貨店のショールーミングは、すべてが同じ体験を提供するわけではありません。目的に応じて、提供されている体験にはいくつかの型があります。

ここでは、実際に多く活用されている代表的な3つの体験を紹介します。

①相談・診断型|課題を整理するショールーミング

どんな体験か

来場者の状況を丁寧にヒアリングし、「自分は何を考えるべき段階なのか」を整理する体験です。

向いている商材・サービス

  • 資産管理・ライフプラン関連サービス

  • 長期契約を前提としたサービス

具体的な事例

百貨店内のイベントスペースで、富裕層向けシニアレジデンスの相談会を実施。入居を前提とした説明は行わず、 「今すぐ必要なのか」「どんな不安があるのか」を中心に対話しました。

なぜ百貨店だと成立するのか

百貨店は、来場者が「契約の前に相談する」ことに慣れている場所です。そのため、「まだ決めるつもりはないが話を聞きたい」という来場者も、心理的な抵抗なく足を止めやすくなります。販売を前提としない相談が自然に受け入れられる点が、この相談・診断型の体験を成立させています。

体験の効果

来場者は、「検討する価値があるかどうか」を自分で判断でき、その後の個別相談や資料請求につながります。

KPIの考え方

この相談・診断型の体験では、来場者が「今すぐ決めるかどうか」ではなく、「検討する価値があるか」「次に何を考えるべきか」を整理できる状態になることが成果です。
そのため、評価指標も即時の成約数ではなく、検討フェーズが前に進んだかどうかを軸に設定します。

KPI例

相談後に「検討に進みたい」と回答した来場者の割合

  • 個別相談・追加面談への移行率

  • 資料請求・情報持ち帰り率

②説明型|サービス理解を深めるショールーミング

どんな体験か

サービスの仕組みや考え方を、来場者の状況に合わせて噛み砕いて説明する体験です。

向いている商材・サービス

  • 不動産・住宅関連サービス

  • ヘルスケア系サービス

  • 仕組みが複雑なサブスクリプション型サービス

具体的な事例

百貨店内のイベントスペースにて、美容や健康に関心の高い層に向けたプロモーションを実施。単なる商品の販売は行わず、独自の技術や仕組みが「自分の生活にどのように役立つのか」というサービスの本質的な価値を伝えることに注力。来場者一人ひとりと丁寧に対話しながら、サンプル配布などを通じて商品の魅力を伝えました。

なぜ百貨店だと成立するのか

百貨店のイベントスペースは、立ち止まり、腰を据えて話を聞くことが前提とされた空間です。短時間で通過される場ではないため、来場者の理解度に合わせて説明を調整し、質問を挟みながら進める体験が成立します。一方通行の説明になりにくい点が、「自分の場合はどうなるのか」を理解する体験につながります。

体験の効果

顧客は 「自分の場合どうなるのか」を具体的にイメージでき、後日の検討時に内容を思い出しやすくなります。

KPIの考え方

説明型のショールーミングでは、顧客が「自分の場合、このサービスはどうなるのか」を具体的にイメージできる状態をつくることがゴールになります。そのため成果は、申込みの有無ではなく理解や納得の深まりとして捉えます。

KPI例

  • 体験後アンケートでの「理解できた」「イメージが湧いた」という回答割合

  • 来場者一人あたりの質問数

  • 説明への平均滞在時間

③比較・検討型|判断軸を整えるショールーミング

どんな体験か

複数の選択肢や考え方を整理し、「どう判断すればよいか」を明確にする体験です。

向いている商材・サービス

  • 複数プランが存在するサービス

  • 導入タイミングで迷いやすい商材

  • 比較が難しい無形サービス

具体的な事例

百貨店の催事会場で、自宅で本格的な一杯を愉しめる家庭用ビールサーバーのテストマーケティングを実施。その場での契約を主目的とせず、「自分のライフスタイルに合うか」「既存の楽しみ方とどう違うのか」といった、自分にとっての最適な判断基準を整理するための対話やアンケートを中心に行いました。

なぜ百貨店だと成立するのか

百貨店には、「無理に売り込まれない」という来場者側の期待値があります。

そのため、

  • すぐに決めなくてもよい

  • 持ち帰って考えてよい

という前提で話を聞くことができます。

この安心感があるからこそ、優劣をつける比較ではなく、判断軸を整える比較体験が機能します。

体験の効果

顧客は、商品の購入やサービスの導入をするかしないかを冷静に判断でき、 次回接点への移行率が高まります。

KPIの考え方

比較・検討型の体験の目的は、どれを選ぶかを決めさせることではなく、「どう判断すればよいか」を明確にすることです。そのため、購入有無ではなく、判断が前に進んだかどうかを成果として捉えます。

KPI例

  • 「判断基準が明確になった」と回答した来場者の割合

  • 比較資料・診断結果の持ち帰り率

  • 再来場・個別相談など次回接点への移行率

体験を「その場限り」にしないための設計

百貨店ショールーミングで失敗しやすいポイント

百貨店はショールーミングと相性が良い一方で、 設計を誤ると本来の価値が伝わらなくなるケースもあります。特に多いのが、「体験のつもりが販売会に見えてしまう」パターンです。

百貨店の来場者は、納得して選ぶことに慣れている分、売り込みへの違和感にも敏感です。

そのため、

  • その場で結論を迫る

  • 購入前提の説明構成になっている

  • 比較ではなく優劣をつけてしまう

といった設計は、ショールーミングの効果を弱めてしまいます。

成果を分けるのは「体験後の設計」

ショールーミングの成果は、体験そのものよりも体験の終わり方で決まります。百貨店ショールーミングの目的は、購入や契約を完結させることではありません。

重要なのは、来場者が会場を離れるときに、

  • 自分に合いそうか

  • 何を基準に考えればよいか

  • 次に何をすればよいか

が整理されている状態をつくれるかどうかです。

CTAは「判断を前に進める行動」に絞る

そのため、体験後のCTA*8は「購入」ではなく、個別相談の予約・資料請求などといった、検討を一段階前に進める接点です。

これらのCTAは、体験の場だけで完結させるのではなく、イベント後も継続して顧客と接点を持つための入口として機能します。

検討期間が長い商材ほど、体験直後の関心や整理された判断軸を次の接点につなげることが重要になるため、連絡先や相談希望など、最低限の顧客情報を取得できる設計がポイントになります。その場で決めなくてよい設計だからこそ、来場者は安心して次の行動を選べます。

*8:本記事におけるCTA(Call To Action)とは、購入・申込みではなく、個別相談や資料取得など「判断を前に進める次の一歩」を指します。

百貨店ショールーミングは「設計力」が問われる

ここまで見てきた通り、百貨店ショールーミングは場所を借りてイベントを行えば成立するものではありません。

  • 百貨店という場の特性を理解すること

  • 来場者の検討段階に合わせた体験を設計すること

  • 販売に見えない構成をつくること

これらを同時に満たす必要があります。

この設計を誤ると、 「集客はできたが成果につながらない」という状態に陥りやすくなります。

体験型ショールーミングを形にする選択肢としての「イベマチ」

三越伊勢丹グループ店舗をつなぎ、イベント出店をサポートする『イベマチ』は、 百貨店ショールーミングを 体験型プロモーションとして成立させるためのサポートを行っています。

  • 百貨店の特性を踏まえた企画設計

  • 販売を前面に出さない構成整理

  • 検討フェーズを前に進める導線設計

単なる出店支援ではなく、「体験として機能するかどうか」という視点でサポートします。

まとめ

この記事では、BtoCサービスにおけるショールーミング活用について、以下の内容を解説しました。

  • ショールーミングを「物販前提」から切り離し、理解・判断を支援する場として再定義する考え方

  • なぜショールーミングで理解が深まり、百貨店がその場として機能しやすいのか

  • 百貨店ショールーミングで提供できる3つの体験型

  • 体験をその場限りにせず、検討を前に進める設計のポイント

ショールーミングは、物を売るための手法ではなく、オンラインだけでは判断が進みにくいサービスに対して、理解・納得・信頼をつくるための体験を提供する手段です。

百貨店は「相談する」「話を聞く」「比較して考える」といった行動が自然に受け入れられやすく、売り込みにならない形で判断を前に進める体験を設計しやすい環境があります。

成果につなげるには、短期売上をゴールにせず、前に進めたい検討フェーズを明確にしたうえで、体験内容と体験後の導線(個別相談・資料請求・説明会参加など)を設計することが重要です。百貨店でのショールーミング活用をご検討の方は、ぜひイベマチへご相談ください。

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