
富裕層マーケティングに有効な百貨店プロモーション-理由・施策例・成功のポイント
この記事の要約
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百貨店は「物販の場」というイメージが強い一方で、法人向けにはイベント出店支援や館内メディア、空間デザイン・装飾制作など、企業が活用できるプロモーション支援の仕組みも整っています。
富裕層向けの高単価の商品・サービスでは、情報を受け取る場の安心感や相談できる環境が意思決定に影響しやすく、オンラインだけでは検討を前に進めにくいケースも少なくありません。そこで有効なのが、百貨店を活用したプロモーションです。
本記事では百貨店プロモーションを“広告の代替”ではなく、富裕層マーケティングの中心施策と位置づけます。そのうえで、百貨店が効果的な理由やプロモーションの種類、成功のポイントなどを解説します。
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百貨店プロモーションを体験起点のブランディング*として捉え直す
百貨店での施策を成功させるには、イベント開催自体を目的にせず、ターゲットに届けたい体験を明確にする必要があります。
例えば、商品の販売だけでなく、ブランドの世界観を体感できる接客や空間演出、限定体験を組み込むことで、「そのブランドらしさ」が来場者の印象に残り、購入後のリピート率や継続率につながりやすくなります。*1
まず百貨店が持つ法人向けの機能を整理し、百貨店プロモーションを“ブランド体験の場”として捉え直すことが重要です。
百貨店は販売スペースだけではなく、立地や来場者層、既存顧客データ、接客ノウハウなど、ブランド価値を高めるための機能を多く備えています。
これらを理解したうえで活用することで、短期的な売上獲得に限らず、ブランドの認知向上や信頼感の醸成といった中長期的な成果を見据えた取り組みが可能になります。
参考
*1 ボストン コンサルティング グループ データで読み解くインフレ時代に自分らしさを買う高額消費者
なお、ブランド体験を成果につなげる考え方や、イベントスペースでの具体的な事例については、以下の記事で詳しく解説しています。
*体験起点のブランディングとは、顧客が直接触れるブランド体験(接客・空間・対話・試用など)を戦略の起点に据え、理解・納得・検討を前に進めるために設計・運用する活動です。体験の質を高め、その成果をブランド戦略全体へ反映します。
百貨店は法人向けにプロモーション機能を持っている
百貨店は、法人向けのプロモーション支援が体系化されており、企業が体験型の施策を実行しやすい環境があります。
単なる売場貸しではなく、イベント運営や広告掲出など、法人向け支援が体系化されており、体験型施策を実行しやすい点も特徴です。
例えば、以下のような施策メニューがあります。
催事・ポップアップなどのイベント出店支援
館内サイネージや屋外OOH *2 などの広告メディア
ノベルティ制作やキャンペーン事務局などの販促支援
ディスプレイ装飾や空間デザインの制作
DMやメルマガなどハウスカード顧客への送客支援
こうした施策を組み合わせることで、単発の出店にとどまらず“体験を軸にしたプロモーション”として展開しやすくなります。
*2 OOHとは、Out of Home(アウト・オブ・ホーム)の略で、家庭以外の場所(屋外や交通機関など)で接触する広告媒体の総称のこと。
目標は“納得して選べる状態”をつくること
百貨店プロモーションの目標は、その場で購入してもらうことではなく、顧客の検討を前に進めることに重きを置く考え方もあります。高単価の商品・サービスは、衝動買いよりも比較検討と納得を経て購入されることが多いためです。
価格が高いほど、顧客は「失敗したくない」「後悔したくない」という気持ちが強くなり、購入までに必要な判断材料も増えます。
例えば、富裕層が購入前に感じやすい不安は次のようなものです。
信頼できる場・人からの情報か
長期的に見て価値があるか
自分の生活や目的に合うか
購入後の安心(保証・サポート)があるか
こうした不安は、広告の訴求だけでは解消しきれないことが多く、対話や比較を通じて“納得できる材料”を積み上げる必要があります。
百貨店プロモーションは、その場で購入を促すのではなく、安心して検討できる状態をつくり、相談予約や資料請求といった次のアクションへ促す場と考えることで、成果が出やすくなります。
このように、顧客が納得して選ぶための体験を提供する考え方は、百貨店に限らずイベント施策全体にも共通します。
富裕層マーケティングで百貨店が効果的な理由
富裕層向けの施策は、「良い商品を出せば売れる」という単純な構造になりにくい点が難しさです。
高単価な商品・サービスでは、価格やスペックだけでなく、自分の生活や価値観に合っているか、購入後まで安心できるかといった点を整理したうえで判断される場面が多く、選ぶ理由を説明できる情報や体験が求められます。
ここでは富裕層ならではの意思決定の特徴を整理し、なぜ百貨店が有効な場になりやすいのかを解説します。
①“信頼できる場”で相談が成立しやすい
百貨店は、富裕層が安心して情報を受け取り、相談しながら理解を深められる場として機能しやすいことが強みです。
富裕層ほど「何を買うか」だけでなく、「どこで買うか」「誰から買うか」も意思決定の材料になります。
その点で百貨店は、場所そのものが信頼につながりやすく、説明や相談が成立しやすい環境だといえます。
②比較・質問ができる時間をつくりやすい
百貨店は、接客や対話を前提とした売り場づくりやイベント運営が行われており、富裕層が意思決定に必要とする比較や質問を行いやすい環境が整っています。
富裕層向けの商材は購入までに疑問が生まれ、比較して、納得するプロセスが必要です。しかしこのプロセスは短時間で完結しにくく、オンラインだけでは前に進みにくいことがあります。
百貨店のイベントでは、次のような行動が自然に起こりやすくなります。
立ち止まって説明をゆっくりと聞ける
その場で質問できる
条件整理や比較ができる
こうした時間が確保できることで、顧客は「気になるけど迷っている」状態から、「自分に合いそう」「もう少し詳しく知りたい」という次の段階へ進みやすくなります。
百貨店は購入を即決させるの場というより、富裕層が納得して選ぶための“比較・質問ができる場”として機能します。
百貨店で提供できる体験の型
百貨店プロモーションは、単なる商品紹介ではなく、来場者が検討を進めるための「相談」「比較」「不安解消」を用意することで成果につながりやすくなります。
例えば、イベマチで富裕層向けシニアレジデンスの案内会を三越日本橋本店で実施した『株式会社プライムステージ』の事例では、成約を目的とせず、外商顧客を中心とした超富裕層と効率的に接点を持ち、親和性の高い来場者へ検討用資料を直接届けることができました。
その場で判断を迫らず、個室での相談対応を通じて検討を持ち帰れる環境を整えたことで、継続的な接点づくりや次の施策検討につながっています。
このように富裕層向け商材は、購入までに検討期間が生まれやすく、その場で決めるよりも「持ち帰って考える」ケースが多いのが特徴です。百貨店の場を活かし、判断に必要な情報を整理して渡せる形にしておくと、次の行動(相談予約・資料請求)につながりやすくなります。
▼体験の型
体験の型 | 体験の目的 | 施策例 | サービス例 |
相談型 | 条件を整理し、「選べる状態」をつくる | ヒアリング/簡易診断/目的別提案/選び方の軸を提示 |
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比較型 | 違いを可視化し、「迷い」を減らす | 比較表(プラン別・グレード別)/利用シーン別提案/保証・サポートの差分整理 |
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納得型 | 不安を先回りし、「判断材料」を持ち帰れるようにする | よくある不安の先回り回答/実績・事例提示/導入フロー資料/FAQ配布 |
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例えば相談型では、ヒアリングを通じて希望条件を整理し、選び方の軸を提示することで“自分に合う選択肢”が見えやすくなります。比較型では、プラン別の比較表や保証・サポートの違いをまとめて示すことで、迷いを減らしやすくなります。
また納得型では、維持費やリスクなどの不安を先回りして説明し、事例や導入フローを資料として持ち帰れる形にすることで、当日の購入を前提にしなくても次回接点(相談予約・資料請求)につながりやすくなります。
百貨店施策は、売る場ではなく、判断に必要な材料をそろえる場として、これら3つの型を組み合わせて展開するのが効果的です。
『株式会社プライムステージ』の事例詳細はこちらからご覧いただけます。
百貨店プロモーションの手段を目的から選ぶ
百貨店施策は「何をやるか」から入ると、施策が分散しやすくなります。
例えば、「とりあえずイベントを実施する」「タレントを呼ぶ」「SNSキャンペーンも実施する」といったように施策を積み上げても、それぞれの狙いや役割が整理されていない場合、来場者に伝わるメッセージが曖昧になりがちです。その結果、印象には残っても、検討や次の行動につながらないケースも少なくありません。
大切なのは、目的に合わせて手段を選び、体験の意図と一貫させることです。百貨店プロモーションでは、来場者が限られた時間の中で体験する情報量や接点が多いため、施策全体に一貫性がないと、ブランドの価値や伝えたいポイントが正しく伝わりにくくなります。
目的を起点に手段を選ぶことで、来場者に届けたい体験や判断材料が整理され、「なぜこの場でこの施策を行っているのか」が自然と伝わり、検討を深める行動へとつながりやすくなります。
検討を前に進める体験をつくる|イベント出店支援とスペース活用
顧客は実際に体験することで、商品やサービスを自分ごととして捉えやすくなり、検討を前に進めやすくなります。その手段として有効なのが、イベント出店支援やスペース活用による体験型プロモーションです。
短期イベントでは、限られた期間に体験機会を集約できるため、「見せる・触れる・相談する」といった接点をつくりやすくなります。
例えばイベントの形式としては、以下が考えられます。
体験会(実演・デモ)
相談会(ヒアリング・提案)
ショールーミング(展示・体験・相談の組み合わせ)
目的に応じて形式を選ぶことで、検討を前に進めるきっかけになりやすくなります。百貨店施策は“イベントを軸に組み立てる”と、富裕層向けに重要な「相談・比較・不安解消」を設計しやすくなります。
認知から来訪までの流れをつくる|館内メディアと屋外広告を組み合わせる
イベントへの来訪を促すには、当日の体験だけでなく、事前に存在を知ってもらい、関心を持ってもらう接点を増やす必要があります。その手段として、館内メディアや屋外広告を組み合わせた露出が考えられます。
イベントだけでは接点が限られますが、館内外での露出を増やすことで、認知→興味→来訪までの流れをつくりやすくなります。
例えば、以下の形で“場の中で接点を増やす”ことができます。
館内サイネージでイベントを告知する
エントランス付近で視認性を確保する
ハウスカード会員向け販促物に事前告知を掲載し認知を広げる
百貨店はイベント単体で終わらせず、館内外メディアと組み合わせて接触回数を増やすことで、成果につながりやすくなります。
無理なく継続できる施策にする|法人向けの販促支援を活用する
百貨店施策を継続して実施するためには、運営にかかる負担を抑える視点も欠かせません。その方法の一つとして、百貨店が提供する法人企業をサポートする販促支援を活用する選択肢があります。
イベント運営は準備や調整に工数がかかり、企業側だけで完結させようとすると、継続が難しくなる場合があります。百貨店側の支援を取り入れることで、運営面の負担を分散しやすくなります。
例えば、以下のような支援を活用できます。
ノベルティ企画・生産
ショップ運営・接客支援
記念品・贈答品提案
百貨店顧客へのDM・メルマガ
百貨店の支援領域を活用し、無理なく実行できる形に整えることが成功の鍵です。
百貨店プロモーションを成功させるポイント
ここでは、百貨店プロモーションを検討するうえで、来場者の検討プロセスを踏まえ、成果につなげるために押さえておきたいポイントを2つ紹介します。
特に富裕層向けの施策では、当日の体験がその後の相談予約や資料請求といった次の行動にどうつながるかという視点で考えることが一つの整理軸になります。
KPIと狙うフェーズを決める
体験を組み立てる出発点は、KPIを定義し、“顧客の検討プロセスのどこを進める施策なのか”を明確にすることです。
富裕層向け施策では、その場で購入を促すというよりも、相談・比較・不安解消を通じて検討を進める役割が大きくなります。目的が曖昧なままだと、当日の内容が「説明が多いだけ」「なんとなく良い体験」で終わり、次の接点にもつながりにくくなります。
例えばAIDMA(アイドマ)で整理すると、百貨店施策の目的は次のように分けられます。AIDMAとは、注意→関心→欲求→記憶→行動の5段階で購買心理を整理するフレームワークです。
▼AIDMA別の目的・KPI例
AIDMA | 目的例 | KPI例 |
Attention(注意) | 存在に気づいてもらう | 立ち寄り数、視認数(通行量)、チラシ・POP接触数 |
Interest(関心) | 詳しく知りたい状態にする | 体験参加数、滞在時間、説明希望数(声かけ反応数) |
Desire(欲求) | 比較・検討を進めてもらう | 質問数、相談件数、見積もり・プラン提示希望数 |
Memory(記憶) | 後日思い出せる状態にする | 資料の持ち帰り数、LINE/メルマガ登録数、後日アクセス数(二次元バーコードからの流入など) |
Action(行動) | 次の接点につなげる | 相談予約数、資料請求数、次回アポイントメント獲得数 |
このように「どのフェーズを動かすか」を先に決めておくと、当日何を用意すべきかが明確になり、内容がブレにくくなります。KPIとAIDMAのフェーズを起点に考えることで、百貨店プロモーションを“なんとなくのイベント”で終わらせず、成果につながる施策にできます。
富裕層の想定質問から逆算し、納得材料を用意する
百貨店プロモーションの体験価値は、富裕層が抱える“購入前の疑問”にどれだけ答えられるかで決まります。
実際にボストン コンサルティング グループによると、高額消費者の多くが、購入時に価格ではなく、所有・利用が自分にふさわしいと感じられるかという価値を重視していることが示されています。*3
このような価値判断は、事前に「自分に合っているか」「納得できるか」を確認するプロセスを伴うため、購入前に多くの疑問や質問が生まれやすくなります。
そのため、想定される質問から逆算し、当日に提供する情報や資料を用意しておくことが、検討を前に進めるうえでのポイントになります。
富裕層から挙げられる質問として、以下のような例が挙げられます。
「私の条件だと、結局どれが一番合いますか?」(最適解がほしい)
「一般的な商品と何が違いますか?」(価格以外の価値を知りたい)
「買ったあと、サポートはどこまで対応してもらえますか?」(継続の安心)
「メンテナンスや手間はどのくらいかかりますか?」(時間価値)
「購入までに何が必要で、どのくらい時間がかかりますか?」(手間の可視化)
「実際に利用している人はどんな層ですか?」(自分ごと化・安心)
「サービスのアレンジは可能ですか?」(個別対応の余地)
これらに答えるために、当日は以下のような“持ち帰れる判断材料”を用意しておくと効果的です。
プラン別・グレード別の比較表
よくある質問(FAQ)と回答
導入・利用までの流れ
実績・事例
保証・サポート範囲の資料
アレンジ例と追加費用の目安
富裕層向けでは「質問に答えられる準備」がそのまま信頼と納得につながり、次回接点(相談予約・資料請求)を生みやすくなります。
参考
*3 ボストン コンサルティング グループ データで読み解くインフレ時代に自分らしさを買う高額消費者
まとめ
この記事では、百貨店プロモーションについて以下の内容を解説しました。
百貨店プロモーションをブランド体験として捉え直す
富裕層マーケティングで百貨店が効果的な理由
百貨店で提供できる体験の型
百貨店プロモーションの手段を目的から選ぶ
百貨店プロモーションを成功させるポイント
百貨店プロモーションは、富裕層向けに「相談」「比較」「不安解消」といった体験を通じて、意思決定を前に進められる施策です。
成果につなげるためには、イベントを開催すること自体を目的にせず、「どのフェーズを進めたいのか」をKPIで定めたうえで、当日に用意すべき情報や資料を整理しておくことが重要です。
百貨店のイベントスペースに加え、館内メディアや外商・販促支援を組み合わせることで、単発の出店にとどまらず、相談予約や資料請求といった次の接点につながる流れをつくりやすくなります。
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